8月16日は送り火コンサートでした。それも点火とともに開演という初めての経験。
送り火の始まる前にコンサートというお仕事はこれまで何度かありましたが、送り火を見ながらの演奏会というのはさすがに初めてのことで。最初お話を頂いた時、わざわざ音楽が必要ないのではと思ってしまったのですが、「送り火本来の精神に立ち返り、一生忘れられない送り火の日にしたい」という主催者様のお話を伺って、それならば、と 私もこの日にしか思いつかないような想いのこもったプログラム構成となりました。また、送り火の前日は終戦記念日でもあり、現在の世界情勢や過去に戦争で亡くなった方々の御霊達にも思いを馳せて、世界の平和への祈りも込めて演奏させて頂きました。
実はこの日は19時頃から突然激しい雷雨で大嵐となり、コロナ禍に3年ぶりの通常点火となる送り火を京都中が固唾を呑んで見守る中、どうなることかと思いましたが、なんと点火の頃には奇跡的に雨が収まり、会場からは無事に綺麗な大の字を拝んで頂くことが出来ました。この劇的な天候の変化にも、何かしら人智を超えた大きな存在があるように感じられて、本当に忘れがたい感動的な一日でした。
そして肝心の演奏会は、お客様からとても嬉しいお声を沢山頂戴し、また主催者様にも御霊送りに相応しい演奏会になったと仰って頂き、無事に役目を果たせたようでほっとしています。私自身大切な人達を何人も失くしたこの年にこのお仕事を頂いたことも、何か意味深く感じられて、皆様の想いと共に音楽が天に昇って行ったような気がして、こうして演奏で御霊送りに参加させて頂いたことは、忘れられない大切な経験となりました。このような機会を頂きましたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。
皆様、本当に有難うございました。